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『一人から始めるリコール運動』



一人から始めるリコール運動

廣越由美子、木村芳正/著

ISBN 978-4-910751-02-3 2023年4月30日 発行



紹介文


「本書に描かれた横浜市民の取り組みは……日本の政治のあり方を変える手がかりを示唆している」(武田真一郎〔成蹊大学法学部教授〕)


「選挙と直接請求制度は、民主主義の両輪だと考えています。選挙だけだと、公約違反をおこなった首長や議員に対し、「次の選挙では応援しない」、または「次の選挙では別の人を当選させる」ということしかできず、「公約違反」という重大な信義違反に対する責任追及や異議申し立てができないからです」(本書より)


市民は、政治的な代表を選ぶだけでなく、拒むこともできる――。2017年横浜市長選挙に臨み「カジノは白紙」と表明した林文子元市長が当選後、突如「誘致」へ方針転換した。「選挙に勝てば何をしてもよい」という姿勢を許してはならないとの思いから、政党や組織に頼らず、市長解職請求に挑戦した市民活動の貴重なレポート。


目次

はじめに 木村芳正


第1章 なぜ、リコールなのか?

 私の見た2017年横浜市長選挙

 大きかった市議会議員選挙の経験

 市民が動く市長選挙をめざして

 リコールのチャンスが来た


第2章 政党や組織に頼らない

 「第1回受任者交流会」を開催

 政党などの宣伝やチラシなど持ち込まない

 「リコールなんでも相談会」を横浜市全18区で開催

 名簿はデータ化せず原簿(紙)で管理

 「混ぜるなキケン」が合い言葉

 粘り強く続けられた街頭宣伝


第3章 立ちはだかった困難

 運動からの最初の離脱者

 新型コロナウイルス危機

 署名開始時期の延期を決断

 「公開質問状」で立憲民主党の非協力姿勢が明らかに


第4章 噓を見分ける力

 市長の噓

 住民投票運動の噓

 政党の噓


第5章 リコールに向けた実務的準備

 SNSやウェブサイト、YouTubeを活用した広報活動

 事務所の確保

 資金の確保

 署名簿と手引きの準備

 受任者への署名簿発送作業の準備


第6章 いよいよリコール本番へ

 リコール署名スタート

 鳴り止まない事務局の電話

 電話対応で感じたこと

 リコール署名達成ならず

 市長秘書課とIR推進課に要望書提出

 個人情報の溶解処理


第7章 リコールする人々

 参加者の証言


第8章 林市長落選運動と横浜市長選挙

 SNSで林市長落選運動スタート

 リコール制度と民主主義

 林市長が再出馬を表明、落選運動が本格化

 選挙運動ではない落選運動

 市長候補予定者への公開質問状

 政党任せにしない市民の参加が大切

 市長選挙の結果が示したもの


第9章 直接請求制度の役割とコストについて

 地方自治法にはなぜ直接請求制度があるのか

 リコール制度の変遷

 住民投票運動の難しさ

 直接請求の役割

 集まった寄付金と無償提供された人件費


終章 リコール運動の残したもの

 リコール運動へ対抗する住民投票運動

 地方自治の多角化や多様性に希望


おわりに 廣越由美子

推薦の言葉 武田真一郎(成蹊大学法学部教授)

関連年表





著者紹介


廣越 由美子(ヒロコシ・ユミコ) 「一人から始めるリコール運動」代表。林文子横浜市長解職請求の代表者も務めた。3人の子どもを育てながら、2019年には横浜市議会議員選挙に挑戦し次点。その後、子育てと保育士の仕事をやり繰りしながら1年半近くリコール成功のために力を尽くした。運動終了後は、保育士の仕事を増やし、その合間に、教育委員会の傍聴や市政ウォッチを続けている。好きな言葉は「優しさは見えないけれどどこかで誰かを助けている」。


木村 芳正 (キムラ・ヨシマサ) 「一人から始めるリコール運動」を呼びかけ、事務局長に就任。東京都在住。多いときは月に20日以上、受任者募集の街頭宣伝のため、キャンプ用テーブルやスピーカーをキャリアカートにのせ電車で横浜に通った。自営業のかたわら2017年に始まったカジノ・シール投票に参加したことが縁で、廣越由美子さんの横浜市議会議員選挙や林市長リコール運動、林市長落選運動に関わる。好きな言葉は「なすがまま、きゅうりがパパ」。

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